ひとり娘の光子ちゃん、外へ働きに出るお母さん、家にいるお父さん。
その日常を手書きの絵と少しの文章で、来る日も来る日も描き続けたお父さん。
「おとうさんはまいにちなにをしてるの」(本文 光子ちゃんからお父さんへの手紙より)
1970年代はじめ、高度成長期の東京、娘を見つめ、自分をもういちど生き直す父の記録。
「どんづまりだった」父は、娘が世界と出会うその過程のすべてを記録しようとするかのようにノートを描き続けます。
お友達と遊んだり、保育園に行ったり、
はじめて字を書いたり、動物園に行ったり、
お誕生日が来たり、お風呂屋さんに行ったり、
プールに行ったり、お友達と遊んだり、お誕生日が来たり……。
そんな一瞬一瞬を誰かに読んでもらうためでもなく、ただ描かれ続けたノート。
父はやがて絵本作家になり、お母さんは赤ちゃんが産まれると光子ちゃんに伝えます。
生きている、それが続いていく、そのかけがえのなさを。
マンガ『ぼくのお父さん』矢部太郎(新潮社)のもとになったノートが
倉敷市立美術館の「やべみつのりと矢部太郎 ぼくのお父さん』のふるさと・倉敷」
開催を記念して初出版。
B6版 オールカラー 992ページ
著者 やべみつのり
装丁 名久井直子
印刷 八紘美術
編集 矢部太郎
発行・たろう社